ベヒシュタインのピアノ

ヴィヴィアンの家のピアノは、確か、ピアノの先生だったお母様のものだった、と聞いております。

何度か弾かせて頂いたのですが、まったく勝手が違う。

音は軽いし、日本で弾くように弾いても、鳴ってくれないのです。

年代物で、博物館にあるような、鍵盤は象牙で、譜面台には装飾が施されていて、メーカーはベヒシュタイン。ルビンシュタインが大好きだったピアノです。


今年はちょっと違う体験をしました。

いつものように弾かなかった時、ピアノが鳴るのがわかったのです。


じぶんの聴いている状態も違う。

指を動かしている感覚はほとんどない、と言っても過言ではないでしょう。

ちょっと思うだけで、すごいレンジの音が出るんです。

楽器って、こういうものなのだ、と思いました。


今までいかに体操のように弾いていたことか。

そして指を動かすことに注意が行ってしまうと、意思疎通しなくなる。


前の先生のご厚意で、レッスンの時にはスタインウェイを触らせて頂いていたのですが、

スタインウェイもこのように弾いていたら、もっと効力を発揮してくれたんでしょうね。


良い楽器は、応えてくれるし、導いてくれるものなのですね。

やはり機械生産ではない、マイスター手作りのものは、生きもののようです。

studio Kattini

音と動き、あるいは音、こころ、からだ、ひとをつなぐスタジオ

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