じぶんの声で

これも、お能の講座でのお話です。

謡を練習するときに、先生がおっしゃいました。

「できるだけ大きい声でうたってください。そして、人の真似はせず、じぶんの声でうたうこと。」


まるで禅問答のようだと思いました。

先生がうたってくださるのを懸命に真似ていたのですが、

「じぶんの声で?」

「真似ないで?」


そういえば、披講でも似たような経験があります。

その人らしさが出ていると、先生方は「いいねえ。」と、おっしゃいます。


何がその人らしさかはわからないけれど、「うまい」とか、「正しい」とかには関係なく、そのひとを体験できるようなことが起きると、みなが「いいねえ」っていう空気感になります。節が違っていても、声が良くなくても、それは起こります。


この評価をしない、ありのままのその人を認める姿勢は、現代にとても必要なものではないでしょうか?


そういった価値観をわたしたちはこころの奥深くで共有しています。

なぜなら、披講を学んでみると、その価値観が顔を出してくるからです。


でも、「じぶんの声」って、いったいどれでしょう?

ひとの真似って、何だろう?


これはあらゆるものに当てはまりますね。

芸術というものは、鏡ですね。

アレクサンダー・テクニークのキーワードも鏡でした。


探求そのものを楽しんでゆきます。


studio Kattini

音と動き、あるいは音、こころ、からだ、ひとをつなぐスタジオ

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